パンチは5つで十分

テレビを見てて思いつきました。間違いだらけのボクシング放送は,BPOが問題にすべきだと思います。

低俗とか,道徳的に問題ありとか,そういう問題をはるかに超えてます。だって,事実をいってないんですから。間違ったことを,さも正しいかのように報じてるんですから。たぶん刑法では取り締まれないんでしょうけど,BPOが問題にすべきなんじゃないでしょうか。

採点は差を必ずつける,とか,そんな誤ったことは,問題視されるべきです。これだけ広まっちゃったんで,手遅れな感もありますけど,ダメでしょ,これは。バカが拡大されるだけです。BPOが問題視すれば,解説者もアナウンサーも,「少しは」お勉強するでしょ。ということは現状,「少しも」お勉強してない,ってことです。ゼロです。「足りない」んじゃなくて,「ゼロ」

レベル的には,ガッツさんですよね。ガッツさんの評価は揺るぎなくなっちゃってますけど,そうでなく,知ったフリして内容はガッツさん未満なんですから,タチが悪すぎます。

ビートたけしさんはしばしばガッツさんをネタにしてますけど,ガッツさんレベルの解説に誘導されちゃってます。

それで「解説者」ってことになっちゃってる人たちにも問題がありますが,そんなものを平気でタレ流しちゃってる放送局の自浄作用のなさにも大きな問題がありますね。

御質問を2ついただきましたんで,まずは簡単なほうから。

1位とチャンピオンは別なの?」とのこと。

これねぇ,「1位」っていう表現がおかしいんですね。英語では「No. 1 Rated Contender」みたいにいいます。ほぼ直訳すると,「1位挑戦者」。単純に「トップ」でじゃないんですね。「Contenderとしての1位」なんです。

大相撲でも,どうやら横綱は別格らしいんですけど,ボクシングにおける「Champion」ってのも別格で,「1位」っていわれるのは「Contender」の1位に過ぎません。日本語でこれを「1位」っていっちゃうから問題がある気がします。「挑戦権を有する1位」ですから,ホントのところは。略さずにいえよ,って感じです。

次。

パンチはいくつあって,いくつ憶えりゃいいの?」って御質問をいただきました。

どうなんでしょうねぇ。Saúl ÁlvarezとかJuan Manuel Márquezなんてのは,弧を描くような,ボールを放るような右も打てちゃいますけど,これは例外的な「 曲芸」だと思っちゃってください。そうすると,右構えも左構えも「5つ」ってことになりますかね。

単純に「ストレート・パンチ」,「フック」,「アッパー」と3種類,左右で2種類,顔と腹とで2種類,とすると,3 × 2 × 2で12種類,ってことになりますが,「どう考えても要らないだろ」ってのがありますね。

例えば,腹への右フック。右フックで腹を打つ位置に急所はないんで,悪いいい方をすると「打つだけ無駄」です。もちろん,リズムを保つのには使い得ますが,効き目はほぼ期待できません。ですから,ジムなんかでこのパンチを熱心に指導されたら,その指導者は「ボクシングをまったく知らない」ってことになります。

きっと,多分に「腹打ちはジワジワ効く」っていう都市伝説を信じちゃってることと想像します。

また,日本ではアッパーというパンチを,ヒジを曲げる力で「力こぶ」をつくるように打つものと勘違いされてるせいで,間違って指導されることがほとんど。腕の力を使うように指導されたら,「コイツ…」って思っちゃっていいでしょう。

そんなことを加味して,必要なのは,まず右構えだと以下の5つ。

一方,左構えは以下の5つ。

どちらの構えも,ジャブと後ろの手のクロス,前の手のフック,それから,肝臓を打ち抜くパンチは必須。

ですが,右構えはもみ合いになりがちなんで近間を打てる右アッパー,左構えは,位置関係が複雑になりがちなんで,左フックが必須です。

日本では都市伝説的に,サウスポーに対する右構えは左に動くように指導されますけど,海外の選手とやったり,そうでなくともふとした瞬間に位置関係で,相手が自分より左に位置する瞬間ができますんで,そこを打てるようにすることが必須です。これは義務です

当然,欲をいえば,左構えも近間を打ち抜く左アッパーが欲しいところですし,右構えがロングで打つ右クロスの腹打ちも欲しい気がします。でも,優先順位は低くなりますね。「必須」という感じではない気がします。

「たった5つ」って思われるかもしれませんが,わりと,「5つ」ごときすらできてない選手が多いんですね。まぁ,実際,難しいんですけど,特に腹打ちと近間の対処ができてない選手の多いこと多いこと…。それをリングに上げちゃう指導者にも問題がある気がしますが…

全部かけ合わせた12種類なんて,要りません。曲芸師なら別ですけどね。

あー,でも,一生懸命に右の腹打ちなんてのを訓練しちゃってる若手がいるんでしょうねぇ…。指導者がバカなんですけど。

結論としては…,いえません。希望をなくしちゃいそうなんで。