体の硬さと柔軟性はまったくの別モノです

さまスポ』で見たんですけど,清水聡選手も,恐ろしいほどの「手打ち」なんですね。村田諒太選手といい,清水選手といい,あれは,実績がなければ許されないレベルでしょ。酷すぎますって。

村田選手の判定がどうのこうのって,盛んに文句がタレられてますけど,あれだけの手打ちだったら,ポイント,あげられませんよ。もちろん,日本のファンは村田選手のパンチの強さを知ってるはずですから,「これは強いの,当たったよ」って思うかもしれませんが,あんな手打ちのパンチは,評価しないでしょうに。打ち方,悪すぎますって。

その村田選手も清水選手も,体がガチガチなんですね。たぶん柔軟運動をすると柔らかいんでしょうけど,それとこれとはまったく別モノ。たぶんこれは「才能」みたいなもんで,後天的に柔軟運動で得られるものではないと思われます。そう遠くない将来,2人とも,見た目はそんなに強くないパンチ食って弾き飛ばされると想像します。

いわゆる「噛ませ」になってしまいそうな気がします。名前があるだけに,便利に使われてしまう気がしますね。

そう遠くない将来,彼らが「教科書」的に扱われることが予想されますけど,あれは,たぶん悪い例にすべきでしょう。「手打ち」が過ぎます。悪い見本です。

以前にも書いたように,タイやスペイン語圏では,ダウンしても英語でカウントされません。まぁ,日本でも「ツー」ですから,本格的ではありませんけどね。あ,桃井かおりさんは「SK-II」を「えすけー・とぅー」っていってましたね。どうでもいいんですが。

話は変わりますけど,ある日本人選手がタイで試合をするときに,通常はタイ語でカウントをする,ってんで,「頭がイッてる状態でも,タイ語で『1~10』を理解できる必要がある」ってことで,訓練したそうです。

例えば「Seven!」って突然,いわれても,たいていの人はそれが「7」ってわかるでしょ。でも,「เจ็ด」っていわれて,わかりますか? 某選手は,それを惧れたようです。

そこで何をしたか,ってぇと,でんぐり返しをして,トランプを投げて,その数字をタイ語で読む,って訓練をしました。でんぐり返しをする選手は日本にもいますが,さすがにトランプは投げないでしょ? でも,某選手はタイ語を「頭がイッてる状態」でもわからないといけない,ってことで,そうしてたんだそうです。

なお,その選手,結局,最後までダウン経験はなかったとのこと。結果的には,「とり越し苦労」だったようですけど,本人は大マジメでした。

ということで,体が硬い話に戻しましょう。

体が硬いと,それがいい方向に作用すると,「パンチの硬さ」として現れます

「ハード・パンチ」って言葉もあるように,パンチには「重い」ではない「硬い」っていう表現が当てはまるケースがあるんですね。

うまく表現できませんけど,「カツーン」って感じで来る場合があります。弾かれる感じでしょうか。体が硬いと,うまいこと,そんな「硬いパンチ」が打てちゃうことがあるんですね。

その代表例が,ODLH(Óscar De La Hoya)でしょうか。彼は,ハタから見ると気の毒なくらいに体の硬い選手でした。

もちろん,柔軟運動はしてたはずですから,そういう意味では柔軟だと思われます。が,ここでいう「硬さ」は,おそらく生まれつきのものなんですね。

いやいや,2歳児にパンチを打たせたことはありませんから,ホントに先天的なものなのかは不明ですけど,モノ心ついてからの柔軟運動では,この「硬さ」は克服できません。喩え「股割り」ができたとしても,この意味での「柔軟性」には無関係

そんな「体の硬さ」が悪い方向に出ると,異常なくらいの「打たれ脆さ」につながります。

ODLHが130の防衛戦でイタリア人とやったときに,そんなに強く見えない左フックで転ぶように倒れましたね。あれが典型例。体が硬いと,まるでビー玉やビリヤードの球のように,弾かれちゃうんですね。音にすると「コテン」みたいな感じ。

この,パンチの硬さと打たれ脆さを合わせもった例が,日本では松倉義明選手でしょうか。彼は強打者だった反面,打たれると「コテーン」と飛ばされてました。

それを自覚してか,ODLHは1発も食わないように防御を向上させましたね。1発でも食うと,容易に弾かれちゃうためです。そんなに強くも見えないパンチで,「コテーン」とやられちゃうからです。

Bernard Hopkins戦でも,見た感じ,そんなに強くもなさそうな腹打ちで悶絶負けしましたね。でも,極端に体の硬いODLHにしてみれば,それが異常に効いてしまうんですね。

あれほど体が硬い選手も稀ですけど,あれだけ硬くて大成した選手を,筆者はODLH以外に知りません。おそらくは,大成してないんでしょう。

そんな怖さが,村田選手や清水選手に感じられます。繰り返しますが,それがうまく作用すれば「パンチの硬さ」になるんですよ。でも,悪い方向に出ると…。若くて体にパワーがあるうちは,まだいいものの…。