芸人さんの所属する事務所には,多くの場合,事務所開催のライブがあります。人力舎さんの場合には「バカ爆走」ってのをやってますけど,まさに『WOWOWエキサイトマッチ』の解説者たちは,そんな感じです。誰にも止められないくらいの爆走中。教育上,最悪なほどに,ウソばっかりいってます。
11月6日の番組には,サウスポー選手が2人出てて,いずれも,わりとちょくちょく左に動いてたにも関わらず,解説を務めたサウスポーの2人はまったく触れず。右構えが右に動いても,触れません。これは「和式」のセオリーからすると外れるためで,彼らにとっては都合が悪いんでしょうね。
都合の悪いことには,黙殺です。最悪の対応でしょ。御都合主義の極みでしょ。かといって,ジョー小泉氏みたいにトンチンカンなこというのもナンですけどね。揃いも揃って,何やってんだか…。
繰り返しますが,サウスポーを相手にする右構えが右に動く,っていうのは,「和式」であって,たぶん誤りですからね。あ,和式の便器には,腸がまっすぐになる,っていうメリットもあるようですけど,ボクシングにおける「和式」に,メリットはありそうな気がしません。豊富な,潤沢な資金力があるから世界を獲れちゃってる選手も少なくありませんが,世界的に評価を得るような選手って,片手の指でも余っちゃうくらいしか,いないでしょ。国内のマーケットだけで何とかなってるようですから,いい,っていや,いいんでしょうけどね。カネこそ正義でしょうから。
放送でも,いわゆる「L字」をとる選手がいましたけど,アニキ,「こうすると,ジャブが出しやすいんですねぇ」ですって。そんな目的じゃありませんよ。Ricardo Lópezなんて異常なくらいにガード高かったのに,ジャブ多かったでしょうに。見てなかったんでしょうか? 目ぇ開いてなかったんでしょうか?
いわゆる「L字」をとるのは,右構えであれば左肩と左腕っていう,体の左半身のみで相手を制することができるためです。決して左パンチを出しやすいからではありません。「L字」で「近間の体勢」につなげられない解説者は,ほぼクズです。特に「左パンチを出しやすい」っていっちゃってるような解説者は,ボクシングを「少しも」理解してないと思っちゃっていいでしょう。あのアニキです。バカすぎますよ。
で,そんな「L字」をとると,しばしば後ろ重心になります。右構えでいうと,右足に体重がかかりがち。パンチだけのボクシングだったら,7:3か6:4で前に重心を置くことがほとんどなんですけど,「L字」だと,5:5とか,場合によっては4:6で後ろに体重が乗ることがあります。
高い蹴りを多発するタイ式では,4:6や3:7で後ろ足に体重が乗るんですね。で,タイ式から国際式に転向してもなお,体重のバランスがそのままだと,大成しません。国際式に移ったら,国際式用に構えの体重のバランスから変えないといけません。
これは「ほぼやり直し」に近いんですね。構えが変わっちゃうんで,技術的な互換性は非常に低いんです。ですんで,「この選手はタイ式で30戦以上の経験があって…」みたいなのは,こうした構えのバランスを知らない人たちの「たわごと」だと思っちゃってください。箔はつくかもしれませんけど,技術的には利点になり難いんです。
が,後ろに重心を置くことにもメリットはあって,右構えでいうところの「右ダック」がしやすくなるんですね。
例えば,引退したFloyd Mayweather, Jr.を思い出してください。
あの選手は「L字」で,後ろ(右足)に体重を置くことがありました。で,右にダッキングすることがありました。そんな右ダックから,異常に速い右クロスや右アッパーをカウンターすることがありましたね。
これ,サウスポーが多用する攻撃なんですね。
サウスポーはわりと,後ろ(左足)に体重を置くことがあります。そして,相手の攻撃,特に右構えの右クロスに対して左ダックして,強くて速い左クロスを返すことを多用します。得意とします。逆に,サウスポーでこれができないようであれば,大成しません。必須です。
懐かしの選手を挙げると,これを非常に得意としたのがFreddie Norwood。短躯な選手でしたが,こうして,わりと思いきって左をぶつけることができてました。
この,サウスポーには必須の技術を,右構えのMayweatherはできちゃってたんですね。ほら,Mayweatherって,サウスポーを調理するのを得意としてたでしょ。右ダックが得意なMayweatherにとって,サウスポーの左クロスっていうのは,右カウンターを打ち込む絶好の相手だったわけですよ。
サウスポーと右構えがやるときには,回り方向だけではなく,こうしたカウンターの打ちやすさの解説も必須。そう考えると,あの番組のサウスポーだった解説者が,いかにダメか,わかるでしょ。肝心なことを喋ってません。わかってんだか,わかってないんだか…。喋んない,ってことは,わかってないんですかねぇ…。頭の程度から考えると,それも納得なんですけど。
番組のメインに出場したErickson Lubinの利き腕がどっちなのか,入場シーンから見てたんですが,気づきませんでした。名前を呼ばれたときのポーズは右手,左手と,順に行ってましたし,負けちゃったんでガッツ・ポーズをとることもありませんでしたしね。
ちょっとでも使える解説者であれば,利き腕がどっちなのか,解説すべきです。と考えた場合,「ちょっとでも使える」が該当しないことがわかります。誰が見てもわかることしか喋らず,喋ったと思えば間違いが多い解説者ですから,期待もしてませんけど,あまりにも役立たずすぎますよね。
一応,サウスポー対策の基本を書いときましょうか。
放送のメインでは,サウスポーのLubinが右1発で仕留められて終わりましたが,このときのJermell Charloが絶妙でしたね。
「探り針」ってヤツを使うのが,わりと普通です。
というのも,サウスポーってのは,わりと単純に,相手のパンチに対して左ダック(後ろダック)をするだけで,右構えのパンチのすべてを外すことが可能だったりするんですね。で,このとき左足に大きめに体重が寄ってますから,思いきった左クロスをぶつけるカウンターを狙うことが多いんです。
ただし,このときの左カウンターは,適切な距離合わせをする必要があって,「和式」で短いのが打てないとなると,武器が少なくなっちゃいます。が,日本でやってる分にはショートの攻防が起こり難いんで,サウスポーであれば,「後ろダック」→「左クロス」っていうパターンで遊べちゃったりするんですね。
ですんで,サウスポーと対する場合には,パンチに対する相手の対応を見ることになります。
多くの場合は上述のように左ダック(後ろダック)を使います。となると,右構えにしてみれば「右外側奥」に相手の頭が位置することになりますんで,例えばジャブで相手の対応を見て,普通に右クロスを打つ,つまり,ワン・ツーを打つと,笑うくらいにきれいな相手の左カウンターが飛んでくることになります。
ですんで,ジャブとかで「1発目」を出して相手が左にダックするのを多用するようであれば,非常に困難なパンチではありますけど,長めの右フックにつなぐ,っていうパターンがありますね。
が,通常,長い右フックなんて,訓練しないんです。ですんで,このコンボは捨てちゃってもいいかもしれません(いや,サウスポーとやる,ってのが何ヶ月も前からわかってれば,身につけるべきですけどね)。
CharloがLubinを1発で仕留めた右は,サウスポーのLubinが右構えのジャブに対して,小さめに左ダックするのにピッタリと合いました。解説者は,そういうところに着目する義務があります。「義務」ですからね。
それはさておき,逆に必須なのが,相手の左カウンターへの対応を身につけること。
右構えがジャブとかの「1発目」を打つと,サウスポーは左ダックをして左クロスをカウンターしてきますから,「1発目」を打った後に,額で「U」を描くように動けるように訓練しましょう。でないと,サウスポーの左をおもしろいほどに食い続けることになります。「あー,やりづれぇ」って思いながらも食い続けて,やがては倒されることになりかねません。
ところが「和式」は,まるでこのパターンを推奨するかのように,サウスポーにとって左クロスを当てやすい位置どりにするんですね。「サウスポーに対しては左に回れ」ってヤツです。
こうすると,サウスポーが思いきった左を打ちつけやすい位置に,右構えのほうから率先して行くことになります。しかも「和式」は「くぐる」ことをしませんから,左を外す手段もありません。その結果,ズルズル,と…。
サウスポーが左ダックを多用するようであれば,つまんない展開になっちゃいますけど,ジャブとかの「1発目」で左ダックをさせといて,「追わない」のが,わりと楽かもしれません。最悪なのは,「サウスポーを相手に左に動いて右クロス」ってパターン。自虐なんでしょうか? カミナリのまなぶさんよりも,「叩かれ好き」なんでしょうか?