何の番組だったか失念しちゃいましたが,WBCバンタム級王者の山中慎介選手が出演されてて,「バンダム級王者」って字幕が出てました。『ゴッドタン』でも「バンデージ」っていってんのに「バンテージ」って字幕が出てたり,「バンダム級」だったりと,一般的な認知度は異常なくらいに低いと考えられます。
だとしたら,世界陸上で織田裕二さんが喋ってるように,解説みたいなことをするポジションに,それなりに知名度がある人を起用して,かつ,正しい情報をタレ流せる人物を使う必要があると思われますが,ボクシングの解説者って,質も量も低すぎますよねぇ…。わかってんのか「天然」なのか,正しくない情報が多すぎます。新規にファンを開拓する必要性は感じてないんでしょうか? どんどんマニアックな,しかも,バカばっかりの世界になっていくような気がしてます。「バンダム級」ですから。アクション・スターか,っての。
推測でしかありませんけど,世界陸上の放送も,陸上競技にある程度の関心がある人が見たら,「何やってんだよ?」レベルかもしれません。織田さんが「サニ」って呼んでんのも,バカバカしいかもしれません。Román Gonzálezをアクセントがないにも関わらず「ロマゴン」って呼ぶくらいに,バカ丸出しかもしれません。あ,筆者も「サニ」って呼びませんけどね。
『WOWOWエキサイトマッチ』でサウスポーのDenis Shafikov(Денис Шафиков)に対して右構えのRobert Easterはどっちに回ってたでしょうか? いうまでもありません。わりと積極的に右に動いて右強打をぶつけてました。しかも,長身のEasterが近間でも丁寧に左肩をぶつけて,自身の左半身のみで相手を押さえてましたね。
でも,解説者はそのことにノー・タッチ。いや,近間のことは触れてたのに,Easterの絶妙な体勢づくりには,一言も触れませんでした。
なぜか…。それは,2人とも,近間の技巧について,「まったく」無知だから,です。何も知らないんで,何も喋れないんですね。「触れない」んじゃなくて,「触れる能力がない」んです。それだけ,この国では近間の技巧が無視されてるんですね。カネは重要なのに,近間の技巧は「なかったもの」になってます。
こんなのが指導者なんですから,そりゃ,門下の選手たちの近間の技巧が磨かれないのもうなずけます。指導者が知らないんですから。指導者,解説者が触れない(触れる能力がない)んですから,視聴者が教育されるはずもなく,知らないまま育っていきます。そして,知らないまま死んでいきます。いつか誰かがいわない限りは,バカはどこまで行ってもバカのまま。教育される機会はありません。
前座のJulian Williamsも,ショートで相手の頭を巧みにコントロールしてました。ポイントは額で「U」を描く動きです。
まず,両腕で受け止めますね。そして,右構えであれば左肩と左腕っていう,左半身のみで相手を止めます。でも,相手がしつこく出てきたり,頭をこすりつけたりしてくる場合には,筆運び逆に額で「U」を描くようにして,今度は右肩で相手を受け止めるんですね。
Williamsは,きちんとこれをしてました。「U」を,どっちの筆運びでもできてました。相手の前進方向に応じて,きちんと,こうして対応してました。
これに対して,典型的な「和式」は,両腕でしっかりと顔を覆って,押すだけなんですね。「U」を描くことはありませんから,打つ姿勢をつくることなんて,できるはずがありません。単なる押し合いを展開するだけ。学校の体育の授業で,剣道の「ツバ迫り合い」なんてのを体験したことのある方も少なくないと想像しますけど,ヘタだと,竹刀をぶつけて押すだけになっちゃうでしょ。たぶん,剣道の心得のある人から見たら,体力を浪費する「だけ」の行為に思えることでしょう。
ボクシングにおいてショートの知識が多少なりともあると,近間の「単なる押し合い」がバカバカしく見えるんですね。「疲れるだけだろ」と。あ,そのため「だけ」にキツい練習をしてるんですかね?
解説者が「あれ」ですから,視聴者が近間を知るはずもなく,もちろん,若い選手も近間を知ることなく育ちます。バカはバカを育てます。
あ,それから,Шафиковを「シャイコフ」って報じてたのには,何の根拠があるんですかね? カナで書くなら「シャフィコフ」のほうが適切だと思うんですけど,解説者が技術に無知なら,スタッフも外国語に理解がなさすぎ。「類は友を呼ぶ」ってことなんでしょうか。「同じアホなら…」ってヤツなんですかね。誰か,少しでも知識のある人物はいないものなんでしょうか?
近間の技術で思い出すのは,かつての軽量級のスターだったRicardo Lópezですね。非常に巧みな選手でした。
今でもハッキリと憶えてますけど,Lópezが同国人のJavier Várguezと闘ったときに,小柄で押しの強いVárguezに対して,Lópezが「首相撲」を行ったんですね。あれは衝撃的でした。
「首相撲」ってのは,タイ式の技術です。両方の前腕で相手の首を挟んで,自身が打たれることのないように相手の耳をナメるように顔を近づける技術で,これをしちゃうと,自分も相手もパンチが打てなくなります。つまり,パンチのみのボクシングにおいては,近間の完璧な防御技術になるんですけど,ボクサーはこれを習うはずがないんですね。だって,自分もパンチがまったく打てなくなるんですから。完璧な防御であるのと同時に,自身のパンチも打てない姿勢なんですね。
ところがLópezは,これをやってのけたんです。たぶん習ってない技術だと思うんですが,Lópezは「首相撲」をやっちゃってました。これによってVárguezのしつこい前進を止めてました。「首相撲」をしながら,頭を右に避けたり左に避けたりと,ジャマ臭がりながらも,きちんと対処してました。
いやぁ,それはそれは衝撃的なシーンでしたよ。知らないはずのことを,当たり前のようにやってのけたんですからね。もちろん,解説をしてた2人はノー・タッチ。「首相撲」はもちろん,ショートの技巧について「何一つ」知らないんでしょう。こんなのの,どこが「解説者」なんだか…。ガッツさん,具志堅さん以下かもしれません。
う~ん,想像ですけど,山中選手の指導者もショートに無知なはずですから,近間でガチャガチャやられて,そのうちのどれかが強めに当たっちゃってコロッと行くんじゃないでしょうかね? だって,指導者がショート知らないんですから。当然のように選手もショートを知らないはずです。あのジムの選手は,少なからずショートでコテッと行った選手がいるはずなのに,いつになっても改善されることがありません。「不運」扱いなんですかね? 「無知」って最強です。知らなければ反省することもないんですから。もちろん,向上もありませんけど…。
「サウスポーは勝ちやすい(サウスポー対策がおかしい)」,「カネのあるジムは有利」…。あ,まさに山中選手じゃありませんか。いや,山中選手にあるのは,それだけではないと思いますが,「サウスポー」かつ「カネがある」っていう2大条件が完璧に当てはまりますね。
まぁ,それはそれとして,ですね。
辰吉丈一郎選手が,「日本人としては」わりと上体を振る,みたいにいわれてましたけど,それでも,左下に頭を振るくらいのことをするだけで,「U」は描かないんですね。日本の選手の「頭を振る」は,直線的に振る「のみ」なんです。
でも,海外の選手は当たり前のように「U」を描きます。
ですんで,辰吉選手方式は相手の右クロスを外すことはできても,続く左フックを外すことができないんですね。左フックを外すには,筆送りそのままの「U」を額で描くように動くことが考えられるんですけど,辰吉選手にこの動きは「ゼロ」。それでも「日本人としては忙しく動く」って評価されちゃってるんですから,「U」を描くのは,まるで御法度扱いです。
でも,Easterなんて長身ながら,きちんと「U」に動いてたでしょ? Lópezも当然のように,こう動いてました。海外では,長身選手でも,当然のように「U」を描くことが可能です。解説者はノー・タッチですけどね。気づいてないんでしょう,たぶん。何を解説してんだか…。
多少,訓練はしてるんですね。リングの対角線にロープを張って,これをくぐって左フック,逆にくぐって右フック,みたいなことをしてます。でも,この動きを防御に使う選手は「ほぼ皆無」。たぶん,教えてないんでしょう。解説者が気づいてないくらいですから,指導者層も気づかないんでしょうね。
誰だか忘れちゃいましたけど,サッカーを導入した際に「この国はサッカーを間違えて導入した」みたいにいったことがありましたね。ボクシングも,そんな感じかもしれません。「根性主義」になっちゃってるんでしょうか。あ,根性を全否定する気はありませんけど,もう少し,技術面にも注目しましょうよ,解説者ヅラしてるヤツらは,特に。
とにかく,近間の攻防に理解がなさすぎ。そして,「U」を描かなすぎ。
知らないんでしょうかねぇ…。解説者陣(別の言葉にすると「バカ」),しっかりしろよ。
これを他の競技に例えると,「バントを知らない野球指導者」とか,「つねにインステップで蹴ることしか知らないサッカー指導者」みたいな感じでしょうかねぇ。これら,バカでしょ? ボクシングの指導者とか解説者とか,ってのは,こんなレベルです。「ID野球」なんて,程遠い。「いいから,全力で振れ! 空振りは仕方ない」くらいのバカ。そんなの,成り立たないレベルでしょうけど,ボクシングに関していうと,そんなヤツらばっかりです。一般に正しい知識が広まるはずがありません。
ボクシングにあんまり関心のない層を呼ぶだけの容姿もなければ,伝えることもインチキだらけ。好んで破滅に向かってるとしか思えません。あ,カネがあるから,いいのか…。