謎の「ノー・モーション」

議員さんが叩かれてますけど,見られてしまったら,何をいわれても,仕方ない気がしませんかね? あ,私見ですけどね。いわれて困ることがあるんだったら,隠れてやれよ,って思います。

本を読んでると「闇ボクシング」なるものがあるらしく,そこでは,いろいろ行われてるそうです。実は「ボクシングを全面的に禁止してしまうと,この『闇ボクシング』が蔓延してしまう」っていう,あんまり積極的ではない理由も,ボクシングを禁じない理由の一つになってるそうです。

ですんで,「闇サッカー」が蔓延しちゃうと,たぶんよろしくないんでしょう。ってことは,議員さんは叩くんでしょうね。で,それを見て殺人予告なんてことをしちゃう輩が現れるんでしょう。

私見に戻ると,アマチュアだろうとプロだろうと,誰かに見られてしまったら,その「誰か」が何かをいうことを止められないように思うんですね。それがイヤだったら隠れてやれよ,ってしか,手はないように思います。でも,そうすると殺人予告が…。怖い怖い。

先日の『WOWOWエキサイトマッチ』でサウスポーのAdonis Stevensonはどっちに動いてたでしょうか? 左だったでしょ。左に動いて,左の強打をしつこいほど叩きつけてたでしょ。でもサウスポーだった解説者2名は黙殺してましたね。彼らのセオリーとは違うんで,不都合だったんでしょうね。不都合なものは黙殺です。

サウスポーだったんですから,相手が右(相手にしてみれば左側)に動いてくれることの「好都合」はわかるはずなんですけどねぇ…。それでも「サウスポーとやるときは左に出ろ」って,いい続けるんでしょうか? 自身が現役時代に「お,ラッキー!」と思ってたことを,門下生にやらせるんでしょうかねぇ…。そんな自殺行為を仕込むんでしょうか…。自身がサウスポーだったクセに

サウスポーにしてみれば,対する右構えは勝手に右(右構えからすると左)に動いてくれるわけですから,強い左を打ち込みやすいポジションになります。「なります」っていうか,右構えが「わざわざ」そうしてくれます。自ら,ワナにはまってくれます。笑いが止まりませんよ。「飛んで火にいる…」ってヤツですからね。

一方,サウスポーが警戒すべきは右構えの強烈な右ですけど,右構えが勝手に自ら左(サウスポーにしてみれば右)に動いてくれるお蔭で,勝手に防げちゃうんですね。Saúl ÁlvarezとかJuan Manuel Márquezみたいに右フックを打てる選手だったら別ですが,「並」の選手は右肩よりも外側に強い右を打てませんから,サウスポーが警戒すべき「強い右」は,勝手に封印されます。不可能なんですね,これは。ですんで,警戒するものが自動的に減ることになります。あ,この「並」ってのは,100人中98人くらいね。打てるのが「特例」です。

また,サウスポーってのは肝臓のある右腹が前に位置するせいで,強い肝臓打ちが困難になります。たぶん,「アニキ」が腹打ちを根性でどうにかなると勘違いしてるのは,これが原因だと思うんですけど,サウスポーってのは強い肝臓打ちを食う機会が少なくなります。

強い右も,強い肝臓打ちも警戒せずに済むわけですから,勝ちやすくなりますよね。この国でサウスポーが出世しやすいらしい要因のデカめの一つが,ここにあると筆者は思ってます。サウスポー対策の勘違い,ね。サウスポーにしてみれば,好都合なことをしてるんですから。「そうしろ」って教えられるんですから。豊田真由子議員の発言くらいの強さで仕込まれてますからね。

てなわけで,サウスポー対策として「左に動く」を推奨してるところを目撃したら,それは「自殺行為」を推奨してると思っちゃってください。さらには,これを「左回り」っていっちゃってる人物を目にしたら,常識知らずと断定しちゃってください。バカが多すぎます。蔓延しすぎです。

喩えるなら,「featuring」を「フューチャリング」っていっちゃう感じでしょうか? 何が「未来」なんだよ,って思うようなことが,ボクシング界では普通になっちゃってます。バカばっかりですんでね(筆者も含めて,ですよ)そんなバカがテレビで喋っちゃってますから,バカが拡大するばかりです。

ということで,本題に移りましょう。

ここでは鬼塚勝也選手を賞賛することが少なくありませんけど,その鬼塚選手も,「どうだか…」と思う瞬間があります。その最たるものが,「ノー・モーション」なるセリフです。

いやいや,ジムに入って真っ先に習うのが,その「モーション」のない打ち方でしょうに?

ゲーム・センターなんかに,パンチ力を測定する機械がありますね。それを,わりと多くの人が,助走をつけて叩いてたりします。そのほうが強く打てるからです。

でも,実際の現場でそんなことは可能でしょうか? まぁ,やるのは自由ですけど,たぶん当たりませんよね。和製英語でいうところの「テレフォン・パンチ」は,当たる確率が著しく低下します(英語では「telegram a punch」っていいます)。ですんで,必然的に「ノー・モーション」になります。

それって,わざわざ解説者がいうことなんでしょうか? 当然のことでしょ。

鬼塚選手は長身だったわけですけど,ショートの非常に巧い選手でした。もしかしたら「日本選手唯一」かもしれません。あ,「ショート」っていうのは,距離が短いだけで,パンチ自体が短く弱いわけではありませんからね。パンチ自体を指して「ショート」って表現しちゃってる解説者が少なくありませんが,あれは完全なる勘違いです。

実に「左肩ぶつけ」の巧い選手でした。程度が過ぎると「押し」の反則をとられますが,「あの程度」だったら大丈夫でしょう。Floyd Mayweather, Jr.も,実に「左肩ぶつけ」の絶妙な選手でしたね。右構えが左手を下げるのは,「打ちやすさ」を求めてではなくて,この「左肩ぶつけ」をしやすくするのが目的です。「アニキ」の「打ちやすくしたいのはわかるんですが…」は,たぶん自身がガードを上げてたことの「嫉妬」です。わかってなさすぎ。

身長が15cm以上低いメキシコのArmando Castroとの押し合いにも負けませんでしたしね。あの試合の前に,レスリングの選手との押し合いの訓練をしたそうです。きっと,その成果もあったんでしょう。

ということで,鬼塚選手自身がショートの攻防に理解があるのかと思ってたんですけど,その門下生に,ショートの名手は見当たりません。ということは,コンビを組んでた指導者の古口哲トレーナーが気をつけてたんでしょう。

が,その古口氏の弟子が世界戦をやったとき,哀しいくらいにショートがヘタでしたから,古口氏だけの手柄とも思い難い…。

となると,きっと,古口氏と鬼塚選手による相乗効果みたいなものの結果が,あのショートの巧さだったんでしょうね。推測ですけど。

そもそも「ノー・モーション」っていっちゃってる人物ですから,何を指導してんのかわかりませんがね。

自身のどこが優れてたか,ってことを,わかってないのかもしれません。あ,協栄ですから,金銭的にも恵まれてたはずですけど…。