また『さまスポ』ネタで恐縮ですけど,伝統派の空手って,足の甲で蹴るんですね。いや,これ,実際にそんなところで人体を蹴ると,確実に足の甲を傷めます。このパートって,細かい骨がいっぱいありますんで,ヘタすりゃ折れます。大変な痛みに襲われます。まるで実戦的ではありません。
空手がオリンピックに採用されましたが,もしかすると,日本人が最も,この空手ってものを理解してないんじゃないでしょうか。普通に「空手」っていうと,それは伝統派を意味して,「当てない」ものを指します。たぶん,多くの人がイメージするのは,「極真空手」なんかに代表される「フルコンタクト空手」ってヤツでしょう。
でも,この「フルコン(略称ね)」は,顔面パンチなしです。「何が『フル』なんだよ」って思われるかもしれませんけど,そういうものなんですね。でも,これは通常「空手」って言葉で表されません。わざわざ「フルコン」っていわないと,これを指しません。ね,誤解してたでしょ?
国体とかでやるのも「伝統派」ってヤツで,要するに「寸止め」です。ですんで,もしかすると人体を殴ったり蹴ったりしたことがないかもしれません。人の体がいかに硬いか,っていうのを,知らないかもしれません。「空手」って,そんなヤツです。「フルコン」ではありませんからね。
で,欧米なんかで盛んなのが「ライト・コンタクト空手」っていって,文字通り,軽く当てるヤツを指します。「ライト」ですから,ガッチガチに当てるボクシングみたいにKOは多く見られません。
ブラジルのオリンピックでは,ボクシングの判定にいろいろと問題があって,審判が何人も資格停止されましたけど,そもそも「当てるの禁止」の空手って,もっと怪しい判定が横行しそうな気がしませんかね? ガッチガチに当てて怪しいんですから,「当てちゃダメ」だったら,「今のは,当たってたら…」っていう想定が,悪い言葉でいうと「何でもあり」な気がします。
あ,そんなわけで「当てちゃダメ」が「空手」ですから,「空手やってんだぜ」って人を,そんなに恐れる必要はないかもしれません。「で,何派?」って訊いてからでいいような気がします。だって,当てたら拳や足をケガしちゃうかもしれない「空手」かもしれませんからね。
っていう感じに,たぶん日本人が最も「空手」をわかってない気がします。
話を変えましょう。
Manny Pacquiao-Jeff Horn戦はHornが判定で勝って新王者になりましたが,あの試合で勝ったHornの勝ち名乗りの瞬間に,リング・アナを務めたMichael Buffer氏は,スコアを読み上げた後に「ぬー」っていってましたね。そう,今やアメリカ英語では「New」を「ぬー」って発音します。「にゅー」ではないんですね。
たぶん,多くの方が盲目的に「New」を「にゅー」って読んじゃってると想像しますし,きっと英語の教師の多くも,そう読んじゃってることでしょう。でも,それは古典あるいはイギリス式の発音で,最近のアメリカの発音では「ぬー」ってな感じになります。
ですんで,「New York」も「ぬー・よーく」的に聞こえます。
かつて陸上競技で活躍したCarl Lewisはコッテコテのアメリカ人ですから,「ルイス」っぽく読んで◯。ところが,彼がもしコッテコテのイギリス人だったら,「リュイス」的に聞こえちゃったりします。
あ,「Andrew」って名前はほぼ確実に「アンドリュー」ってカナ表記されますけど,これも「アンドルー」っぽく聞こえますね。今や「-ew」を「ゅー」って書くのは,ちょっと時代遅れかもしれません。「ら抜き言葉」が一般化しちゃってる今,英語だけは「そんなに古典を守るか?」って感じ。
話をPacquiao-Horn戦に戻すと,それぞれのギャラはPacquiaoが1000万ドル(1ドル113円として11億3000万円),Hornが50万ドル(5650万円)って発表されてます。で,これに加えて,Pacquiaoはフィリピンのテレビ中継料からの歩合が,Hornにはチケット売上の歩合が,それぞれ贈られることになってるようです。
この試合でHornが勝っちゃったせいで再戦が確実視されてますが,この再戦で,Hornは最低でも200万ドル(2億2600万円)のギャラを得る,って報じられてますね。
誤解してる向きが多いようですけど,ギャラっていうのは,原則として,勝っても負けても変わりません。試合の契約時に,決まってます。もし試合結果で価格が変わるとすれば,それは,そういう契約がなされて,わりと話題を呼ぶことになります。ってことは,通常は試合契約時に決まってる「固定給」なわけです。
これを日本語では「ファイト・マネー」っていいますが,これは和製英語で,英語では「Purse」っていいます。「Purse」っていうと,わりと「財布」って訳されがちですけど,これで「金額」みたいな意味。でも,上記のように「固定給」ですんで,筆者は「ギャラ」っていっちゃうことが多いんですけど,これで何度も怒られました。
怒られた,っていうと,控室を「楽屋」っていうのも,さんざん怒られました。「ギャラ」,「楽屋」はアウトなんですって…。神聖視しすぎな感じじゃありませんかねぇ…? それとも,筆者がふざけすぎなんでしょうか?
関心がなかったんでちゃんとは見てなかったんですけど,弊WWWサイト,まぁ,ここですね,どうやら,日に約80ヒットあるようです。試合のあるなしとかによってバラつきがあるんですが,だいたい,そのくらい。
誰が見てんでしょうか? だって,ボクシングに少なからず期待を抱いてる人にしてみたら,きっとマイナスでしょ? 解説者も指導者もクズだらけ,とか,日本で報じられてることはインチキだらけ,とか,そんな内容ですから。ほとんど,もち上げてませんもんね。日本のギャラは他のアジア諸国の10倍程度,とかも,夢をブチ壊します。
まぁ,筆者からすると,そんな夢を抱くことが間違ってる,って感じなんですけどね。一応は業者として,専門誌がマイナスなことを書き難いことくらいはわかってるつもりですけど,事実誤認も多すぎます。濁す,とか,触れない,くらいならまだいいものの,間違いを堂々と報じちゃってるんですから,どうにもなりません。
そして,そんな間違いに満ち満ちた専門誌を読んで周囲に講釈するわりとコアなファンが間違いを広めちゃうんですから,間違いがどんどん連鎖していきます。コレを筆者は「バカの拡大再生産」っていってますが,そんな事象が起こってますから,真実を知ると,閉口することでしょう。
ということで,弊WWWサイトは,たぶんマイナスです。特に初心者には毒です。そこそこわかってて,で,疑問符を抱いちゃってる層は,御覧ください。もし他人に伝えるとしたら,その人物が正常な判断能力を有しているか,ってことをお考えの上で,よろしくお願いします。
再度,Pacquiao-Horn戦に話を戻すと,試合地だったBrisbaneの中央付近の「s」は,通常,濁ります。頭アクセントなんで「ブリズベイン」のようにはなりませんけど,「s」は濁ります。濁らないほうがカッコいいのかなぁ…?
あー,難しいところですね。カリフォルニア州にも「Brisbane」っていう土地があるんで,イギリス人とアメリカ人にそれぞれ「Brisbane」を発音してもらったところ,イギリス人は「ブリズベン」っぽく,アメリカ人は「ブリズベイン」っぽく発音しました。つっても,筆者の知人の発音ですから,これで「すべて」ってわけではありませんけど,イギリス英語(古典)とアメリカ英語とで,違うようですね。「ら抜き言葉」を不快とするか否か,っていうのに似てる気がします。
そんな傾向の話をすると,スペイン語の「ll」も,いろいろあるようです。
これは「エリェ」のようにいう,まぁ,アルファベットみたいなものなんですけど,例えば,古典的なスペイン語だと「リャ,リュ,リョ」みたいな音になるんですね。ですから「Argüello」は「アルグエーリョ」っぽく読みます。
が,ちょっと進むと,これを英語のアルファベットの「j」っぽく読むんですね。「Castillo」を「カスティージョ」っていうのは,このセンス。
スペインの炒飯みたいな「Paella」を「パエリヤ」って表記しますけど,これはわりと古典で,ちょっと発展したスペイン語を使うところだと「パエージャ」っていいます。で,もっと進むと,これを英語のアルファベットの「y」みたいに発音する傾向があります。
メキシコのJuan Francisco Estradaがアメリカで試合をしたときに,「Gallo!」っていう声援を「ガーヨ!」っていってましたね。これなんか完全に「ll」を「y」っぽく発語しちゃってた例でしょう。『Ring』誌が「Argüello」を「Ar-Gway-Yo」って書いてましたけど,このときすでにアメリカのセンスでは「ll」は「y」だったことになります。たぶん20年くらい以前の話です。
もちろん,「ら抜き言葉」ではなくても通じるように,「ll」を,どんな音で読もうとも,通じはします。「Argüello」を「アルゲリョ」って読むのは完全な間違いですけど,「アルグエーリョ」,「アルグエーヨ」,「アルグエージョ」,どれでもOKです。
ということで,筆者の知人のメキシコ系アメリカ人に聞いてみたところ,「オレは『j』派かな」とのことでした。やっぱり,いろいろなようです。
ここまでガタガタ書いたところで,お題の「立て~!」に関して。
Pacqiao-Horn戦と同じリングで帝里木下選手に対して「ラスト1分!」みたいな声がかかってましたけど,あれは,客席からの声です。理由は簡単。セコンドが怒鳴ることは禁止されてるからなんですね。
ですんで,セコンドが「立て~,立つんだ~!」って叫んじゃったら,その時点でレフェリーから注意されるでしょうし,ヘタしたら選手が失格になります。ただでさえ倒れてる,ってのに,失格になりかねません。ですから,もしセコンドにつくことがあったら,試合進行中に怒鳴るのは避けましょう。
『あしたのジョー』って,わりとリアルっぽく語られますけど,どうなんでしょうね。いや,もしかしたら,あの時代はセコンドが叫んでもOKだったのかもしれません(調べろよ)。でも,今だったら確実に注意か失格です。
ですんで,客席に練習生とか若い選手を送り込んどいて,そこから叫ばせるんですね。それは「客」ですから,叫んでOKなわけです。「客」なら,「ラスト30!」とかいっちゃっても,問題ありません。
例えば後楽園ホールなんかは,ラウンドの進行時間が出てますから,時計をもってなくても大丈夫。「ラスト30!」を,間違えずに叫ぶことができます。
ん? そのための時計なのかも?(ウソ)